第5章 記憶
あなたの瞳に、彼女が映りはじめたのはいつ?
そして、気がついたときには
あなたの心にも住み着いてしまった彼女
私の目の前にいる、あなたの頭の先からつま先まで
彼女のものだと思うだけで
この胸は張り裂けそうになる。
わたしだけを見て、そして愛して
その言葉を飲み込むたびに、私の心にひとつ傷がふえる。
あなたと出逢ったあの日が
ふたりの運命だと信じてはいけませんか?
出会うべくして、出逢ったふたりだと思ってはいけませんか?
【あなただけのひとりになりたい】
あなたの瞳に、彼女が映りはじめたのはいつ?
そして、気がついたときには
あなたの心にも住み着いてしまった彼女
私の目の前にいる、あなたの頭の先からつま先まで
彼女のものだと思うだけで
この胸は張り裂けそうになる。
わたしだけを見て、そして愛して
その言葉を飲み込むたびに、私の心にひとつ傷がふえる。
あなたと出逢ったあの日が
ふたりの運命だと信じてはいけませんか?
出会うべくして、出逢ったふたりだと思ってはいけませんか?
【あなただけのひとりになりたい】
「なぁ、昔さ会ったことあるとか、見たことあるとか
突然、感じたことある?」
『ん?それって夢で見たとか、そんなことじゃなくて?』
「なんやわからんのやけど、もしかしたら夢かもしれへんし
実際に見たかもしれへんし、自分でもようわからんねん」
『デジャヴのこと?』
「デジャヴ?」
『既視感って言ったほうがいいのかな?過去に体験したっていう感覚があって
夢とはまた違う感じのものなんだけどね。そう思えるようなことがあったの?』
「そう思えるっていうか…。いや別にええねんけどな」
『でも気になってるんでしょ? そう顔に書いてあるよ』
「顔?俺の?」
『そう、渡辺君の顔に(笑)』
「なんや、そんなんいうたらお前の顔にも書いてあるで(笑)」
『私の顔にも?』
「おん。お前の顔にも」
見つめないで…。
私の心の中まで、すべて透かしてしまいそうなキレイな瞳に射抜かれて
自分の気持ちを抑えられなくなるから…
『ねぇ…わたしの顔になんて書いてある?』
いつもとは違う空気が、ふたりの間に流れて
心臓の高鳴りが、あなたに聞こえてしまいそう。
「お前の顔、お腹すいた。って書いてある(笑)」
『えっ・・・お腹すいた?』
「うひゃひゃひゃ(笑) お前なんて顔しとん?」
ふたりの間の空気が、いつもと同じものへと変わる。
『もぉ〜!ちょっと失礼だよ。いくら私でもそんなお腹すいたとか
顔に書いてるわけないじゃない。ちゃんとお昼ご飯も食べたもん。』
「だって書いてあったんだから、しゃーないやん(笑)」
『そんなこというんだったら、渡辺君はお腹すいてないんだよね。
今日の夕飯は抜きにしてもらおっと(笑)』
「残念〜。俺今日さ、ご飯食べ行くねん。」
『ご飯食べに行くって…誰と?』
「誰って、それは内緒(笑)」
『ねぇ、それって…』
「あっ、ごめん。俺もう戻らなアカン」
『えっ、もうそんな時間?わたしも戻らなきゃ』
「お前もいつまでもサボってたら、怒られるで(笑)
んじゃ、俺先にいくから」
『うん。お疲れさま』
走っていく彼の背中を見つめて、最後の一言が言えなかった自分を悔やむ。
【ねぇ、誰と一緒なの… 彼女なの?】
聞きたくても、聞けないその言葉達が、喉元を詰まらせる。
私は彼にとって、どんな存在なのか知りたい。
ただの同僚、仲のいい友達…。
それとも・・・。
すぐに自分の中に芽生えた、都合のいい考えを否定する。
でもあの日からわたしは、ずっとあなただけを見つめていた。
きっと、あなたは覚えていない。
私があなたに恋をした、あの日のことを・・・。
「愛流いい加減にしなさい。いつまでも我侭いって先生を困らせないで」
『お母さんに、私の気持ちなんてわからないくせに、えらそうこと言わないで』
「わかってるから言ってるんじゃない。」
『わかってるって何を?私が死ぬかもしれないってこと?
それとも手術しても助かる確率が少ないってこと?』
「先生は大丈夫だって言ってるわ。少しの望みがあるならそれに賭けてみましょう。
ねぇ、愛流。あなたはまだ若いんだから、これから元気になって…」
『もういい!一人にして、誰にも会いたくない。出てって!』
私は、生まれつき心臓に欠陥があった。
何度も何度も発作が起こるたびに、入退院を繰り返す日々
今度、大きな発作が起こったら命の保障はできない。
そう宣告されて過ごしてきた私が助かるためには手術しかない。
それは、十分すぎるほどわかっていた。
でも恐かった。もしかしたら命がなくなってしまうことも
そして、この胸に大きな傷跡が残こることも…。
そのときの私は、何も考えたくなかった。楽になりたかった。
こんな私を愛してくれる人なんて何処にもいない。
少しずつ空が泣き出すなか
私は苦しい身体を捨てて、自由になることを選んだ。
この空を飛び回る鳥達のように…
「そっから落ちても、なんも変わらへんで」
背後から声がして振り向くと、
傘を差しかけるように、スーツに身を包んだ男性が立っていた。
『ほっといてください。あなたには私の辛さなんてわからないんだから』
「たしかに俺は、君の辛さはわからないけど
でも目の前で起ころうとしてることに、知らん顔できへん」
『じゃあ、見えないところにいきますから』
自暴自棄になっていた私は、場所を変えようと歩きだした。
「なぁ…今の俺は健康だから、病気の人の辛さはわからない。
けど、一人でも多くの命を守るために、俺はいまの仕事を選んだ
だから目の前で、自分の命を粗末にする人を見たくない」
『・・・あなたって、お医者さんなの?』
「いや違う。医者じゃなくて、その手伝いっていうか・・・薬とかを扱ってる」
『じゃあ、何もわからないじゃない。私の病気のことだって知らないし
どんなに苦しいかもわからない。それなのに命を粗末にするなとか
偉そうに言わないで! 戦いたいって、じゃあ私の身体を治してよ
手術しないでいいように、そんな薬を見つけてきてよ!」
自分でも、めちゃくちゃなことを言ってることはわかっていた。
でも抑えられなかった。止められなかった。
それなのに…ひどいことを言ってるのに
あなたはちゃんと私の叫びを受け止めてくれた。
そして約束してくれた「必ず治せるような薬を作るから」って・・・
あの時、あなたが見せてくれた力強い目が
生きる希望を与えてくれた。
信じてみたいこの人に賭けてみたい。
そう思わせてくれた。
だから私は手術を受ける決心をした。
そして健康な体を手にいれることができたとき
あなたと同じ夢をもちたいと願った私は
製薬会社へと入社した。
まさか、偶然にも同じ会社で働けるなんて思いもせずに・・・
私の命が、生まれかわったあの日から
あなたを愛してます


突然、感じたことある?」
『ん?それって夢で見たとか、そんなことじゃなくて?』
「なんやわからんのやけど、もしかしたら夢かもしれへんし
実際に見たかもしれへんし、自分でもようわからんねん」
『デジャヴのこと?』
「デジャヴ?」
『既視感って言ったほうがいいのかな?過去に体験したっていう感覚があって
夢とはまた違う感じのものなんだけどね。そう思えるようなことがあったの?』
「そう思えるっていうか…。いや別にええねんけどな」
『でも気になってるんでしょ? そう顔に書いてあるよ』
「顔?俺の?」
『そう、渡辺君の顔に(笑)』
「なんや、そんなんいうたらお前の顔にも書いてあるで(笑)」
『私の顔にも?』
「おん。お前の顔にも」
見つめないで…。
私の心の中まで、すべて透かしてしまいそうなキレイな瞳に射抜かれて
自分の気持ちを抑えられなくなるから…
『ねぇ…わたしの顔になんて書いてある?』
いつもとは違う空気が、ふたりの間に流れて
心臓の高鳴りが、あなたに聞こえてしまいそう。
「お前の顔、お腹すいた。って書いてある(笑)」
『えっ・・・お腹すいた?』
「うひゃひゃひゃ(笑) お前なんて顔しとん?」
ふたりの間の空気が、いつもと同じものへと変わる。
『もぉ〜!ちょっと失礼だよ。いくら私でもそんなお腹すいたとか
顔に書いてるわけないじゃない。ちゃんとお昼ご飯も食べたもん。』
「だって書いてあったんだから、しゃーないやん(笑)」
『そんなこというんだったら、渡辺君はお腹すいてないんだよね。
今日の夕飯は抜きにしてもらおっと(笑)』
「残念〜。俺今日さ、ご飯食べ行くねん。」
『ご飯食べに行くって…誰と?』
「誰って、それは内緒(笑)」
『ねぇ、それって…』
「あっ、ごめん。俺もう戻らなアカン」
『えっ、もうそんな時間?わたしも戻らなきゃ』
「お前もいつまでもサボってたら、怒られるで(笑)
んじゃ、俺先にいくから」
『うん。お疲れさま』
走っていく彼の背中を見つめて、最後の一言が言えなかった自分を悔やむ。
【ねぇ、誰と一緒なの… 彼女なの?】
聞きたくても、聞けないその言葉達が、喉元を詰まらせる。
私は彼にとって、どんな存在なのか知りたい。
ただの同僚、仲のいい友達…。
それとも・・・。
すぐに自分の中に芽生えた、都合のいい考えを否定する。
でもあの日からわたしは、ずっとあなただけを見つめていた。
きっと、あなたは覚えていない。
私があなたに恋をした、あの日のことを・・・。
「愛流いい加減にしなさい。いつまでも我侭いって先生を困らせないで」
『お母さんに、私の気持ちなんてわからないくせに、えらそうこと言わないで』
「わかってるから言ってるんじゃない。」
『わかってるって何を?私が死ぬかもしれないってこと?
それとも手術しても助かる確率が少ないってこと?』
「先生は大丈夫だって言ってるわ。少しの望みがあるならそれに賭けてみましょう。
ねぇ、愛流。あなたはまだ若いんだから、これから元気になって…」
『もういい!一人にして、誰にも会いたくない。出てって!』
私は、生まれつき心臓に欠陥があった。
何度も何度も発作が起こるたびに、入退院を繰り返す日々
今度、大きな発作が起こったら命の保障はできない。
そう宣告されて過ごしてきた私が助かるためには手術しかない。
それは、十分すぎるほどわかっていた。
でも恐かった。もしかしたら命がなくなってしまうことも
そして、この胸に大きな傷跡が残こることも…。
そのときの私は、何も考えたくなかった。楽になりたかった。
こんな私を愛してくれる人なんて何処にもいない。
少しずつ空が泣き出すなか
私は苦しい身体を捨てて、自由になることを選んだ。
この空を飛び回る鳥達のように…
「そっから落ちても、なんも変わらへんで」
背後から声がして振り向くと、
傘を差しかけるように、スーツに身を包んだ男性が立っていた。
『ほっといてください。あなたには私の辛さなんてわからないんだから』
「たしかに俺は、君の辛さはわからないけど
でも目の前で起ころうとしてることに、知らん顔できへん」
『じゃあ、見えないところにいきますから』
自暴自棄になっていた私は、場所を変えようと歩きだした。
「なぁ…今の俺は健康だから、病気の人の辛さはわからない。
けど、一人でも多くの命を守るために、俺はいまの仕事を選んだ
だから目の前で、自分の命を粗末にする人を見たくない」
『・・・あなたって、お医者さんなの?』
「いや違う。医者じゃなくて、その手伝いっていうか・・・薬とかを扱ってる」
『じゃあ、何もわからないじゃない。私の病気のことだって知らないし
どんなに苦しいかもわからない。それなのに命を粗末にするなとか
偉そうに言わないで! 戦いたいって、じゃあ私の身体を治してよ
手術しないでいいように、そんな薬を見つけてきてよ!」
自分でも、めちゃくちゃなことを言ってることはわかっていた。
でも抑えられなかった。止められなかった。
それなのに…ひどいことを言ってるのに
あなたはちゃんと私の叫びを受け止めてくれた。
そして約束してくれた「必ず治せるような薬を作るから」って・・・
あの時、あなたが見せてくれた力強い目が
生きる希望を与えてくれた。
信じてみたいこの人に賭けてみたい。
そう思わせてくれた。
だから私は手術を受ける決心をした。
そして健康な体を手にいれることができたとき
あなたと同じ夢をもちたいと願った私は
製薬会社へと入社した。
まさか、偶然にも同じ会社で働けるなんて思いもせずに・・・
私の命が、生まれかわったあの日から
あなたを愛してます

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