腕の中で香る花の香りに誘われるように
俺の唇は、彼女の柔らかい唇を求めた
何も考えられない・・・ 考えたくない・・・
重なりあう鼓動が、どちらのものかさえもわからないほど耳に響いてくる。
その音は、俺の理性をさらに乱し狂わせる
俺の唇は、彼女の柔らかい唇を求めた
何も考えられない・・・ 考えたくない・・・
重なりあう鼓動が、どちらのものかさえもわからないほど耳に響いてくる。
その音は、俺の理性をさらに乱し狂わせる
たどり着いた丘の上は、愛する人が眠る場所。
夏生の死を認めたくなくて俺は、今まで逢いにくることができなかった。
「夏生・・・クロス持ってきたよ。遅くなってごめんな。
俺は弱い人間で、この手からクロスを離してしまったら
もう2度と夏生を会えない気がして、ずっと持ってこれへんかったんや
でもあの手紙を読んで思い出したんだ。どんなにこのクロスを夏生が大切に
していたか…。もう一度夏生の首にこのクロスをかけてもええか?」
夏生の名前が刻まれた石碑にクロスをかける。
「やっぱりこのクロスは、夏生に一番似合う。
夏生・・・いま俺のこと見てるんやろ?ごめんな全然約束守れてないよな。
俺は、太陽のように逞しくもなければ、月のように澄み切った輝きもない。
でもな。俺・・・夏生が愛してくれた渡辺恭一でいたい。これからもずっと
夏生に愛されていたい。だから輝き続けるよ。いつだって夏生が俺を
見つめ続けてくれるように・・・。」
石碑にかけられたクロスを優しくはずして、夏生が眠る場所へ小さな穴を掘る。
「ふたりの愛を誓ったクロスだから、誰にもみつからないように・・・
そして俺の変わりに、永遠に夏生の側へ」
冷たい雪を掻き分けながら、夏生の近くにクロスを埋めた。
夏生の死を認めたくなくて俺は、今まで逢いにくることができなかった。
「夏生・・・クロス持ってきたよ。遅くなってごめんな。
俺は弱い人間で、この手からクロスを離してしまったら
もう2度と夏生を会えない気がして、ずっと持ってこれへんかったんや
でもあの手紙を読んで思い出したんだ。どんなにこのクロスを夏生が大切に
していたか…。もう一度夏生の首にこのクロスをかけてもええか?」
夏生の名前が刻まれた石碑にクロスをかける。
「やっぱりこのクロスは、夏生に一番似合う。
夏生・・・いま俺のこと見てるんやろ?ごめんな全然約束守れてないよな。
俺は、太陽のように逞しくもなければ、月のように澄み切った輝きもない。
でもな。俺・・・夏生が愛してくれた渡辺恭一でいたい。これからもずっと
夏生に愛されていたい。だから輝き続けるよ。いつだって夏生が俺を
見つめ続けてくれるように・・・。」
石碑にかけられたクロスを優しくはずして、夏生が眠る場所へ小さな穴を掘る。
「ふたりの愛を誓ったクロスだから、誰にもみつからないように・・・
そして俺の変わりに、永遠に夏生の側へ」
冷たい雪を掻き分けながら、夏生の近くにクロスを埋めた。
ひらひらと舞う雪に混じりながら
白い煙となって遠い空へと夏生が昇っていく。
俺は遠くから、ただ見守ることしかできなかった。
降り注ぐ雪の結晶が、俺に触れて溶けてなくなっていく。
まるで俺の腕の中で消えてしまった夏生のように…。
今にも泣き出しそうな空は、俺の心
涙はあの日、この身体からすべて絞りだしてしまったはずなのに
それでも、まだこの頬を濡らそうとする。
ー夏生との約束を守りたいー
だから俺のかわりに、空が泣き出してしまえばいい。
俺は唇をかみ締めて、涙がこぼれ落ちないように空を睨む
「夏生…俺約束守れてるやろ?
精一杯生きるって誓ったもんな。俺…夏生には嫌われたくないんや
でも…まだ笑えない。笑顔で夏生を送ることはできひん。
いつかきっと笑えるようになる日まで、その日まで待っといてな…」
『恭一君、そろそろ時間が…』
俺の背中に、申し訳なさそうにマネージャーが声をかける。
「わかってる。もう行くから…あと少しだけ夏生を見送らせてや…」
手のひらに握りしめた俺たちの「暗号」
夏生の胸にこのクロスを…そう思いながらも、俺は手放すことができなかった。
これさえも放してしまったら、俺と夏生を繋ぐものがなくなりそうで恐かったから…
握り締めた手を開き、クロスへと唇を近づける。
夏生への永遠の愛を誓うように
優しくキスをして、俺はクロスを自分の胸へとかけた。
そして昇りゆく夏生が薄れていく姿を見送りながら、マネージャーが待つ車へと向かった。
…夏生…俺…まださよならは言えない…
白い煙となって遠い空へと夏生が昇っていく。
俺は遠くから、ただ見守ることしかできなかった。
降り注ぐ雪の結晶が、俺に触れて溶けてなくなっていく。
まるで俺の腕の中で消えてしまった夏生のように…。
今にも泣き出しそうな空は、俺の心
涙はあの日、この身体からすべて絞りだしてしまったはずなのに
それでも、まだこの頬を濡らそうとする。
ー夏生との約束を守りたいー
だから俺のかわりに、空が泣き出してしまえばいい。
俺は唇をかみ締めて、涙がこぼれ落ちないように空を睨む
「夏生…俺約束守れてるやろ?
精一杯生きるって誓ったもんな。俺…夏生には嫌われたくないんや
でも…まだ笑えない。笑顔で夏生を送ることはできひん。
いつかきっと笑えるようになる日まで、その日まで待っといてな…」
『恭一君、そろそろ時間が…』
俺の背中に、申し訳なさそうにマネージャーが声をかける。
「わかってる。もう行くから…あと少しだけ夏生を見送らせてや…」
手のひらに握りしめた俺たちの「暗号」
夏生の胸にこのクロスを…そう思いながらも、俺は手放すことができなかった。
これさえも放してしまったら、俺と夏生を繋ぐものがなくなりそうで恐かったから…
握り締めた手を開き、クロスへと唇を近づける。
夏生への永遠の愛を誓うように
優しくキスをして、俺はクロスを自分の胸へとかけた。
そして昇りゆく夏生が薄れていく姿を見送りながら、マネージャーが待つ車へと向かった。
…夏生…俺…まださよならは言えない…
キャンドルの炎が揺らめき、二人の影が映し出され
飾り付けれらたもみの木の下で
俺と夏生は、互いの体温を分け合うように肩を寄せ合う。
『暖かい・・・。恭ちゃんとこうしてると身体だけじゃなくて
心も暖かくなる』
夏生が、俺の肩に顔を埋めて囁く。
「俺も暖かい・・・。こうしてまた夏生と一緒にいれるなんて
夢にも思ってなかったし」
『恭ちゃん私と約束したよね。知ってることを全部教えてくれるって
いま聞きたいの。教えてくれる?』
俺は頷き、夏生と出会った日から
今日までのことをひとつひとつ話はじめた。
そしてすべてを話終えたとき、夏生の瞳は涙で溢れていた。
飾り付けれらたもみの木の下で
俺と夏生は、互いの体温を分け合うように肩を寄せ合う。
『暖かい・・・。恭ちゃんとこうしてると身体だけじゃなくて
心も暖かくなる』
夏生が、俺の肩に顔を埋めて囁く。
「俺も暖かい・・・。こうしてまた夏生と一緒にいれるなんて
夢にも思ってなかったし」
『恭ちゃん私と約束したよね。知ってることを全部教えてくれるって
いま聞きたいの。教えてくれる?』
俺は頷き、夏生と出会った日から
今日までのことをひとつひとつ話はじめた。
そしてすべてを話終えたとき、夏生の瞳は涙で溢れていた。
夏生に会える喜びを抱いて、俺は病院を訪れた。
前回と違って、明るい時間に訪れることで
細心の注意を払う必要があった俺は辺りを見渡して
階段へと急ぎ足で向かい
誰にも気づかれることなく、5階へと駆け上った。
夏生の病室に近づくにつれて、人の動きが多くなり慌しくなる。
「先生。どこにもいません。」
『患者が行きそうな場所に心あたりは?』
「みんなで手分けして探してるんですけど、どこも岡野さんの姿がなくて」
岡野…いま岡野って…。
『ご主人は?連絡はしてるんだろう』
「朝の時点ですぐに連絡をしてるので、もうこちらにこられると思います。」
『あまり状態がよくない時だ。ご主人が来たら心あたりをすべて
当たってもらって!あと都内の病院に運ばれる可能性もあるから
そっちのほうにも連絡もしておくように』
夏生がいない・・・。俺は近くの看護士さんへ声をかけた。
前回と違って、明るい時間に訪れることで
細心の注意を払う必要があった俺は辺りを見渡して
階段へと急ぎ足で向かい
誰にも気づかれることなく、5階へと駆け上った。
夏生の病室に近づくにつれて、人の動きが多くなり慌しくなる。
「先生。どこにもいません。」
『患者が行きそうな場所に心あたりは?』
「みんなで手分けして探してるんですけど、どこも岡野さんの姿がなくて」
岡野…いま岡野って…。
『ご主人は?連絡はしてるんだろう』
「朝の時点ですぐに連絡をしてるので、もうこちらにこられると思います。」
『あまり状態がよくない時だ。ご主人が来たら心あたりをすべて
当たってもらって!あと都内の病院に運ばれる可能性もあるから
そっちのほうにも連絡もしておくように』
夏生がいない・・・。俺は近くの看護士さんへ声をかけた。







